ハーグ条約とは?
日本も近々条約締結
最近、ハーグ条約に関連するご相談も多く受けてります。
ハーグ条約の正式名称は、「国際的な子の奪取に関する条約」といい、ハーグ国際私法会議第14回会期で採択され、1983年には発効しました。
我が国は未だ加盟しておりませんが、内閣は、平成23年5月20日、ハーグ条約への加盟を閣議決定し、6月に法制審議会に諮問し、平成24年の通常国会に法案を提出する予定となっています。
これまでハーグ条約の批准については、子の福祉の観点から根深い反対論がありましたが、内閣の閣議決定を受け、我が国でもハーグ条約批准が確実視される状況になってきました。そこで、以下ではハーグ条約の内容についてご説明します。
ハーグ条約の内容
ハーグ条約第1条は、この条約の目的は、①不法に連れ去られ、とどめ置かれている子の速やかな返還及び、②子が連れ去られる前に居住していた締結国における監護及び面接の権利が、他の締結国により尊重されることの2点であると規定しています。
この条約は、そのための仕組みとして、
① 夫婦の一方が、他方配偶者に無断で子どもをつれて他の締結国に出国した場合
② 他方配偶者は、子どもが住んでいた締結国の中央当局に子どもの連れ戻しを申立てる
③ 子どもが住んでいた締結国の中央当局は、子どもが現在住んでいる締結国の中央当局に通報する
④ 子どもが現在住んでいる締結国の中央当局は、子どもの所在を確認し、
⑤ 子どもの返還に関する司法または行政手続きが行われ、子どもの任意の返還を促し
⑥ 任意の返還がなされない場合には、子の返還命令を発する
という一連の仕組みを定めています。
そのため、政府はハーグ条約締結と同時に、上記仕組みに対応した国内法の整備を行うものと予想されます。
子どもを引き渡す場合の例外規定がある
ハーグ条約批准反対の理由は、夫のDV等から逃れるために、帰国したにも関わらず、日本政府が子どもの引き渡しを命令するのは、子の福祉に反している、という点です。
このような点に配慮し、ハーグ条約は、以下のような場合には、子どもを元の締結国に返す必要はなくなるとしています。
① 子が16歳に達すると条約の適用はなくなる
② 子の連れ去りから1年を経過し、子が新しい環境のなじんでいると認められるとき
③ 子の連れ去り当時、他方の親が実際に子を監護しておらず、あるいは同意や追認をしたとき
④ 子の返還が、子の身体あるいは精神に危害を与え、又は耐え難い状況に子どもを置く重大な危険があるとき
⑤ 子の意見を考慮に入れることが適切な程度に子が成長している状況で、子が返還を拒んだとき
⑥ 基本的人権の観点から容認されない場合
例外規定がどのように整備され、運用されるかが、問題です。
ハーグ条約自体が、上記のような例外規定を設け、子どもの人権に配慮しているといっても、実際の運用が例外規定を狭く解釈する者であった場合、子どもの人権が侵害される懸念は払拭されません。
この点については、今後も、十分な検討や論争が必要となるでしょう。